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第3話 ソンジュの「希望歌」 失郷の魂のゆくえ

  • 2007/08/21(火) 00:00:00

第2話「人力車でのすれ違い」シーンで強い印象を残したピアノインスト曲が、第3話シーン32で、ソンジュによって切々と歌い上げられました。
衝撃を受けた私は、放送のあった夜、この歌がどういう歌なのか、どうしても調べたくて「경성스캔들 제3화 송주 가」をキーワードでDaumを検索しました。
韓国でもソンジュの歌は話題になっていて、その歌が「희망가 ヒマンガ 希望歌」という曲だということが、やっとわかりました。日本語サイトも色々探す中で、「希望歌」の「謎」を解き明かしてくれたのが、ノレ番Morisさんのサイトです。そこで、「希望歌」の歌詞とその意味、時代的背景、なぜ日本人にとって「懐かしい」響きなのかがわかりました。



이 풍진 세상을 만났으니 너의 희망이 무엇이냐
この風塵のような世に生まれ おまえの希望は何なのか
부귀와 영화를 누렸으면 희망이 족할까
富貴と栄華を手にすれば 希望は満たされるのか
푸른하늘 밝은 달아래 곰곰히 생각하니
蒼い空 明るい月の下 思いにふければ
세장 만사가 춘몽 중에 또다시 꿈 같도다
この世の全てが 春の夜の 一夜の夢のようだ



以下、姜信子著『日韓音楽ノート―〈越境〉する旅人の歌を追って―』(岩波新書)からの引用です。

「希望歌」。別名「絶望歌」、あるいは「蕩子警戒歌」ともいう。そこには、三一運動挫折後の荒涼とした心象風景が描かれている。日本に協力して富んでいく親日派=蕩子(タンジャ)への反感と諷刺も込められている。
この歌のメロディは、実をいえば、日本人に非常になじみ深いものだ。1910年、逗子開成中学の生徒のボート遭難を悼んでつくられた「七里ヶ浜の哀歌(真白き富士の嶺)」と同じなのである。(中略)
そして、日本においても、韓国においても、本来は長調であったそのメロディは、広く唄われるようになった頃には短調へと変わっていた。


七里ヶ浜の哀歌 三角錫子
一 真白き富士の根 緑の江の島
仰ぎみるも 今は涙
帰らぬ十二の 雄々しきみたまに
捧げまつる 胸と心
(中略)
六 帰らぬ浪路に 友よぶ千鳥に
我もこいし 失せし人よ
尽きせぬ恨に 泣くねは共々
今日もあすも 斯くてとわに


1910年2月6日、遭難事故の大法要の際に、鎌倉女学校(現・鎌倉女学院)がこの哀悼歌を合唱しました。作詞者は鎌倉女学校教諭三角錫子(1872~1921)。曲は当時、女学校でよく歌われた唱歌「夢の外」―むかしのわが宿、変わらぬふるさと、夢の外に、今日ぞ逢える―(大和田建樹作詞。『明治唱歌(五)』1890年刊)の替え歌でした。学生の間で歌い継がれていたこの曲は、1916年「七里ヶ浜の哀歌」として楽譜が発行され、のちに演歌師が全国的に流行させたそうです。(参考:『日本唱歌集』岩波文庫)


曲の起源は1805年に刊行された『Christian Harmony クリスチャン・ハーモニー』に収められている「Love Divine」という説が有力です。作曲者はアメリカ人Jeremiah Ingalls(ジェレマイア・インガルス 1764~1828)。その後もいくつかの讃美歌集に収録されていきました。


日本では1872年の学制公布の後、欧米の民謡や讃美歌などを編曲し、日本語の歌詞をつけた唱歌(初等・中等の学校で教科用に用いられる歌曲)が歌われるようになります。「七里ヶ浜の哀歌」の源流は、この学校唱歌にあります。


一方韓国では、1885年のキリスト教伝導開始とともに讃美歌が普及し、1892年に最初の讃美歌集が出版されました。続いて、1895年に小学校令が公布され、学校教育の中で韓国の唱歌(チャンガ)歌われるようになりました。しかし、1905年に日本が統監府を設置、翌年から「安寧秩序を破壊し、風俗を紊乱させる」として韓国の唱歌は統監府から禁止され、アンダーグラウンドの歌となります。(参考:「韓国にもたらされた讃美歌はどのような讃美歌であったのか」安田寛)


「希望歌」の源流を日本の「七里ヶ浜の哀歌」とする説もありますが、私は、アメリカの讃美歌を共通の源流として、それぞれの国で独自に展開してきたと解釈したいと思います。

kyonsu_kibouka_10.jpg

アメリカの讃美歌という「母胎」から生まれた二つの歌は、二国をめぐる歴史の中で、その道程が分かれていきます。韓国の「希望歌」は、アンダーグラウンドの世界で歌い継がれ、三一独立運動の「挫折」の後、民族の「恨(ハン)」を象徴するものとして、静かに流行していきました。

kyonsu_kibouka_11.jpg

「希望歌」のことを調べだしてから、「京城スキャンダル」の公式HPのBBSに自分が日本人だと断った上で「希望歌が非常に印象的に使われている」という趣旨の書き込みをしてみました。すぐにレスがあり、日本人が希望歌に関心を持ったことに驚くとともに、「この歌には民族の「恨」が込められているのですよ…」と書かれていました。

kyonsu_kibouka_12.jpg

「七里ヶ浜の哀歌」にも六番に「尽きせぬ恨に 泣くねは共々」という歌詞がありますが、ここでの「恨(うらみ)」は悲劇的な事故によって、故郷に帰ることが叶わない若い魂の「恨み」であり、一方で、希望歌にこめられた「恨(ハン)」は、植民地支配によって帰るべき故郷を失った「失郷民」の魂の「恨(ハン)」なのではないでしょうか。

아름다운 밤이에요 여러분
美しい夜です、みなさん
청춘의 특권이 허락되지 않는
青春の特権が許されない
척박한 이 시대를 살아가는 여러분들을 위해
疲弊した この時代を生きている皆さん達のために
그럼에도 살아가고
それでも生きている
그럼에도 사랑하는 여러분들을 위해
それでも生きている みなさんたちのために
이 노래를 불러요
この歌を歌います…

kyonsu_kibouka_13.jpg

1927年と1937年のクロスオーバー、美しく幻想的な回想シーンとともに歌い上げられた「希望歌」
ソンジュにとって、スヒョンにとって、帰るべき故郷、奪われた朝鮮の土地に対する思いはどのようなものであったのでしょうか…。

 

第3話シーン32 ソンジュの「希望歌」

京城廃人同盟はじめ、京スに関心のあるみなさんが、それぞれのブログで「希望歌」を語っています。(「私も語っているぞ!」という方、是非コメント下さい!リンク貼らせてもらいます)
◆「Milk Tea」Limeさん
◆「刺身屋と呼んでごめんなさい」シベリアさん
◆「その望月の如月の頃」na-mimさまのブログ

いつも翻訳でお世話になっています!「京城スキャンダル」を感動的に視聴できたのも、こちらのブログのおかげです!
◆「内気な風景」リュジン道の師匠、御所さまのブログ

また、京スの登場人物と植民地朝鮮で同時代に生きた「朴敬元」をモデルにした、映画「青燕」(2005・現在シネマコリアで上映中)のOSTに「조선분이세요 (희망가)」という題で「希望歌」のインストが収録されています。つい先ほど初めて視聴しました。京スと少しアレンジは違いますが、美しい旋律は同じ…素敵です。

ここまで、我慢して読んでいただいた方、本当にありがとうございます。長すぎてお疲れになったと思います、写真で癒してください~カムサハムニダ~!

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この記事に対するコメント

素敵です...

torakoさん、こんにちは。
私が「京ス」に嵌ったのはまさにこの二人の美しさと哀しさに引き込まれたからだと思います。この二人が出てくると画面が引き締まり、透明感が漂い、鋭く胸を突き刺されるような思いがこみ上げてきたんです。「希望歌」についてtorakoさんに教えていただいた頃のことです。3話でしたか...今思うと、ソンジュにしては地味な衣装はこの歌と状況に合わせたんでしょうね。

今回の記事も想像以上のすばらしさです。内容はもちろん、画像も編集もすべて...リュジンシを随所に入れて盛り上げていますね~。ああ、死ななくてよかった。戦後もソウルにいてね。北に行ってたら殺されるから...

  • 投稿者: na-mim
  • 2007/08/21(火) 11:09:42
  • [編集]

「京ス」の風景

na-mimさま こんばんわ
na-mimさまのブログに初めて書き込ませていただいたのが、第4話の翻訳終了後だったと思います。2話での伏線があって、3話でソンジュの「希望歌」があって、4話での二人のミョンビンカン庭での切ない「対決」があるんですよね。本当にこのあたり、息を詰めて見ていました。
このブログは本当に自己満足の世界になってしまっています。自分の中に取り込まれた「京ス」の風景を少しずつ送り出しているような…。
きっとカン・ジファン氏のファンが見たら怒るだろうな~。
でも、ジファン氏の写真をアップした時、「あーこの人は華がある人だな~」と思いましたよ。本当に周囲の雰囲気がガラッと変わるんだもの。
旅行もうすぐですか?「ハローお嬢さん」と「英雄時代」を見はじめたので、na-mimさん家にも遊びに行きますね。
ありがとうございました。

  • 投稿者: torako
  • 2007/08/21(火) 19:44:20
  • [編集]

torakoさん、
そんなに気を遣われなくてもいいですよ。「ハローお嬢さん」はtorakoさん、お忙しいのに無理して見るドラマではありません。暇ができたら見る程度でいいですよ。他に見たいドラマやしたいことがいろいろあるでしょうから。

でも、リアルタイムで訳しているときは反応がほとんどなかった「ハロー……」も最近日本での放送が始まったら、反応が起こってきました。
京スも秋にまたブームが起こるかもしれませんね。

私は次は「犬とオオカミ」かな、と思っています。ちょっとハードなやつが見たくなりました。

  • 投稿者: na-mim
  • 2007/08/21(火) 21:33:16
  • [編集]

ラブコメ帝王と主人公の位置づけ

na-mimさま
実は「ハローお嬢さん」は韓ドラのラブコメ大好きの同居人が見はじめて、一緒に見せられています。
同じ時期に韓ドラにはまったのに、私は史劇やサスペンス、比較的シリアスな作品が好きで、合い同居人はラブコメ命です。京スがはじまる前は、私が「ソウル1945」同居人が「怪傑春香」を見てました~!

「京ス」の日本放送、楽しみですが、反面、きちんと評価されるか心配なところがあります。
客観的に見れば、スヒョンとソンジュの物語にウェイトを置きすぎていて、主役二人の人間としての成長過程の描き方が、不十分に終わってしまった印象は否めません。

na-mimさまのところで、soriさんがコメントしてらっしゃったと思うんですが、独立闘士として、一人の女性としてのヨギョンの成長や、植民地支配という現実から目を背けて今を楽しむだけの人生だったワンがヨギョンやスヒョンとの葛藤を経て成長していく過程を描き切れなかった面は確かにあると思います。

日本だとジファン氏やジミン氏の知名度が圧倒的に高い中で、スヒョン・ソンジュを中心にした「京ス」の評価がどのようにされるのでしょうか…。
もし、シーズン2を作るのであれば、ヨギョンとワンを改めてきっちりと描く必要があると思います。
…とはいえ、こちらのブログはSSコンビ傾倒ですが…(^^;)

  • 投稿者: torako
  • 2007/08/21(火) 22:33:53
  • [編集]

こんばんは

遅くなりました。torakoさん、ブログ開設おめでとうございます。
ブログ名からレイアウト、配色に至るまで、torakoさんのこだわりとリュジン氏への深い愛で満たされていて素晴らしいです。

na-mimさんのところでのtorakoさんの書き込みで、韓国におけるこの「希望歌」の歴史を初めて知りました。ソンジュの歌うシーンは、監督も特別の想いを込めて撮られたのでしょうね。ドラマ全編の中でもとりわけ印象深いシーンです。
「京城スキャンダル」はドラマも楽しみましたが、もう一度歴史に目を向けるきっかけも作ってくれました。どうやら韓国の視聴者もそういうところがあるようで、それが「日本憎し」で終わらないことを祈りたいです。

思えば私の初リアルタイム視聴は「夏の香り」なんですよ。KBSに登録できた事が嬉しくて、直後に始まったドラマを見たのです。その時はジファン氏はラストの方でワンシーンだけで全く印象に残っていませんが、4年後にリュジン氏、ジファン氏が2トップで共演、それを廃人同盟の皆さんと見ることができて、そういう意味でも忘れ難いドラマとなりました。

  • 投稿者: sori
  • 2007/08/22(水) 02:28:51
  • [編集]

何故か・・・

どうしてだか、私のPCではハングルが「・・・」で表示されます。
na-mimさんやシベリアさんのところのハングルはちゃんと表示されるのに。
何か設定の問題でしょうかね?
(それで、ハングルはワードパッドに貼り付けて見ています。)

  • 投稿者: sori
  • 2007/08/22(水) 02:36:18
  • [編集]

ようこそsoriさん!

わーい!soriさん、いらっしゃいませ。
来ていただいて、とても嬉しいです。
na-mimさまのところでも、私など、すぐ暴走する廃人同盟を、客観的な目で見て、「なるほど」と思える書き込みをしていただいていて、感謝していました。
私などは終了後もまだ暴走気味ですが、落ち着いて振り返りたい気持ちも大きくて、バランスを取るのが大変です。

「夏の香り」をリアル視聴されているとはすごいです。
韓国で放送されている頃も知らなくて、日本で放送されるようになっても知らなくて、今年の正月にDVDを借りてきて見たばかりです。きっとリアルで見ていたら、ソン・スンホン氏の藁人形をつくっていたかも知れませんね(^^;)

ハングル表示の件、ご指摘ありがとうございました。na-mimさまやシベリアさんのところのエキサイトブログは、ハングルにも完璧に対応しているようですが、こちらのFC2は、テンプレートによっては、特定のOSやエクスプローラのVerによって「…」になる場合があるようです。
自分で使っている2台のパソコンでは見れていたので、気がつきませんでした。対処法をネットで調べてみましたら、3つくらい方法があって、今夜0:00頃更新する記事(氷アズキおごるよがテーマ)のソースで、ハングル文字の前後に<span lang="ko"></span>を書き込むという対処方法を試してみました。お手数ですが、閲覧していただいて、お時間ある時に、コメントで表示されるかどうか、教えていただけませんでしょうか。これでうまくいけば、過去の記事も手入れしようと思います。あいかわらず「…」のようでしたら、No.2の対処法を試してみます。
勝手なことお願いしてすみません。よろしくお願いします。

  • 投稿者: torako
  • 2007/08/22(水) 18:41:18
  • [編集]

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