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エムルダンと義烈団 朝鮮革命宣言の世界 2

  • 2008/01/31(木) 00:00:00

第2話回想シーンで少年スヒョンが読んでいた『朝鮮革命宣言』…10年後の1937年、カン・イノがエムルダンのアジトで読んでたのも『朝鮮革命宣言』でした。(第4話)

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『朝鮮革命宣言 조선혁명선언』とは、1923年に義烈団のリーダー金元鳳(キム・ウォンボン)の依頼で申采浩(シン・チェホ)が起草した義烈団(의결단 ウィヨルダン)の綱領的文書です。

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조선혁명선언
『朝鮮革命宣言』
(結語部分)

민중은 우리 혁명의 대본영이다
民衆はわれらが革命の大本営だ
폭력은 우리 혁명의 유일무기이다
暴力はわれらが革命の唯一の武器だ
우리는 민중 속에 가서
私たちは民衆の中へ行き
민중과 휴수 하여 불절 하는 폭력―
民衆と手を結んで絶え間ない暴力―
암살, 파괴, 폭동으로써
暗殺、破壊、暴動によって

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강도 일본의 통치를 타도하고
強盗日本の統治を打倒して
우리 생활에 불합리한 일체 제도를 개조하여
私たちの生活に不合理な一切の制度を改造して
인류로써 인류를 압박치 못하며
人類として人類を圧迫することがない
사회로써 사회를 박삭치 못하는
社会が社会を剝削(収奪)することのない
이상적 조선을 건설할지니라
理想の朝鮮を建設せん

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義烈団はもともと、1919年に満州吉林省で誕生した組織で、この宣言に色濃くあらわれているように、日本帝国主義に対抗し、朝鮮の独立を実現するためには、「暴力(テロリズム)」も辞さず、朝鮮総督府や日本軍の首脳、親日派朝鮮人、「民族反逆者」をターゲットに「必殺主義」を標榜して、植民地支配のための機関(総督府や警察署)の爆破などを次々とおこなっていきます。

エムルダンの「七必殺」は、まさしく、義烈団の系譜を引く「必殺主義」といえます。

「京ス」の新鮮さは、植民地支配下での「生き方」を、暗くストイックなものだけでなく、明るく、人間味たっぷりに、時にはヨギョンに代表される原則的な独立運動思想を茶化したりもしながら、自由に描いていることではないか、と言われています。また、従来この時代背景のドラマでは、登場しなかったソヌ・ワンや上田ミユキのような人物が生き生きと描かれている点も、大変興味深く感じました。

日本人が見て、色々考えさせられながらも、「京ス」ワールドに引き込まれるのは、俳優の魅力もさることながら、画一的でない人物像と時代の描き方が魅力的だからではないでしょうか。

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でも、やはり最後にひっかかるのは「テロリズム」の描き方…
植民地支配は二度と繰り返してはいけない過ちだったと思いますが、ソンジュが何の逡巡もなく、親日派朝鮮人や日本人を殺していく姿を見ると、日本人としてというより、人間として「本当にこれでいいのだろうか」と感じてしまいます。

テロリズムは日本人に対する朝鮮人の闘争において欠かせない一面であった。それはアナーキズムと同じく、大衆行動をとりにくい孤立した農民集団の中で発達する。絶え間ない抑圧に対する反応であり、挫折感、無力感から生じる急激な反動である。また、奴隷の境地にあるもののみが実感しうる、自由への強烈なあこがれを表すものである。
朝鮮人は平和を好み、宗教的で穏やかな民族である。救いのない苦難に対しながら人々のおおかたが寛容かつ無抵抗であることに絶望させられて、青年たちは直接行動に転じ、苦痛と不正を除くために彼らにとってそれしかない武器、爆弾、銃、ナイフを手にする。
(『アリランの歌―ある朝鮮人革命家の生涯―』より)


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国を奪われ、文化や言語さえも否定されるような状況のもとで、「非暴力」で何ができたのか、きれいごとだけではない、ということもわかります。しかし、テロリズムが矛盾や抑圧を根本的に解決したのか、といえば、暴力は暴力を生み、報復は報復を生むことも歴史が証明しています。
「京ス」は決して「テロリズム礼賛」ではないと思いますが、やはり最後はまだ互いに越えなければ壁があることを痛感させられました。

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おおぜいの朝鮮人トルストイアンがテロリストになった。トルストイの哲学が絶対解決できない矛盾に満ち満ちているところから、解決への盲目的な試みとして直接行動と闘争の必要が生まれるのである。私も若い時はずっとトルストイを好きだったが、彼の哲学に方法を見いだすことはできなかった。
(『アリランの歌―ある朝鮮人革命家の生涯―』より)

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お久しぶりです

映画『アナーキスト』でも「民衆はわれらが革命の大本営だ」がシャウトされていました。
今日は3・1ですが、あの夜のソウルでは、警官、憲兵に追われ逃げまどう群集にたいして在留日本人の野次馬たちが棍棒で襲い、殴る蹴るの暴行を働きました。(1923年関東大震災時の朝鮮人大虐殺に連続して行きます…)小学館ライブラリーの『昭和の歴史①』のp.175は柳寛順、対するp.174には「3・1運動の処刑者」の直視するのが辛い写真があります。
そうです。わたしたち日本人と日本は、一方的に暴力・テロを行使してきたのです。魯迅のいう「血債」を、わたしたちはほとんど返済していません。
『アジュ・トウクピョラン・サラン』というエッセイの中で、イ・ヨンエが金九の『白凡逸志』を読み、独立闘士たちに思いを馳せ、李奉昌の行動(「桜田門事件」)に涙を流し、写真つきで紹介しているとのことです。そしてそれが、まっとうな感覚ではないか、と思います。
とはいえ「個人のテロ行為は、革命的憤激の明白な兆候ではあるが、……個人的テロリズムがプロレタリアートの革命的闘争にとってかわりうるという幻影を大衆の間に喚び起こす」ものです。キム・サンも「間もなく私は、…クーデターやテロ行為の無益さを理解した。なおもテロリストの英雄的犠牲を賛美し、わがアナーキスト仲間の友情ののびやかさを愛したけれども、彼らの運命が定まっていることもはっきりと感じた」(文庫版、p.151)
ところで『アリランの歌』の悲劇性の根底にあるものは、あの本には書かれも認識もされていません。それはキム・サンが「共産青年同盟にはいった」1923年には、「ひっそりと」始まっていたロシア共産党とコミンテルンのスターリン主義的変質過程です。それは1925-1927年の第2次中国革命の致命的な敗北…上海クーデター、広州コミューン、陸海豊での壊滅……をもたらします。そしてすさまじい30年代へとつながって行きます。

  • 投稿者: ポクギ
  • 2008/03/01(土) 23:42:35
  • [編集]

日本人にとっての3・1

ポクギさん
おはようございます!
3・1の日に久しぶりにコメントいただき、お話することができて、嬉しいです。

今日午前中はお休みだったので、かなり朝寝坊して朝刊を取りに行きましたが、「歴史は生きている」で東アジアの歴史認識について意欲的な特集をしている朝日新聞ですら、今ざっと斜め読みしたところ、3・1の日の意味あいや大統領演説について、何も記事はありませんでした。

先日、釜山で金剛山公園にある壬辰倭乱関係の史蹟を探し歩いた中に、秀吉の軍隊と対峙して首を斬られた住民たちの塚がありました。説明文もあったので、見学していると、正装した紳士から手招きをされたので、奥に入っていきました。塚の前では4~5人の正装した男女が集まっていて、供物をささげて祭祀を行っていたのです。最初に私を呼んでくれた紳士が、ゆっくりとした韓国語で、塚の歴史や、ここで何が行われたのか、説明してくれました。(もうしわけないことに、ほとんど聞き取れませんでしたが…)周りの人にも「日本人が来ている」というようなことを説明してくれて、参拝を許してくれました。

突然のことで、緊張もしていて「チンシムロ・カムサハムニダ」とお礼を一言いうのが精一杯。この塚を訪れて、自分が日本人として何を感じたのか説明することは、できませんでしたが、400年前の歴史的な出来事でも、彼らにとっては生々しく今に連続している事件なのだということを強く感じました。

まして、まだ100年も経っていない3・1です。死者7500人と簡単に書いてしまいましたが、その死の一つ一つがどのようなものであったか、また、各地で何が行われたのか、私たちは知らなければならないし、忘れてはいけないのだと思います。

正義を標榜する組織が最終的に人間を疎外してしまうことの恐ろしさは、卑近な例でも色々と感じるところです。最後は人間としてのまっとうな感覚が問われるのでしょうか、そんな牧歌的なことを言える時代ではなかったとは思いますが…。
この部屋も「変質・変節」を繰り返しておりますが、ひととき、思いを馳せる場として、また、是非お越しくださいね。

  • 投稿者: torako
  • 2008/03/02(日) 12:09:23
  • [編集]

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